マーケティングの歴史は19世紀(1801年~)頃から生まれたと言われています。
18世紀後半から始まった産業革命により多くの製品が大量生産が可能となり
それに伴いまだ他国への輸出能力が低い内は国内で販売する事が多かったため
国内の需要拡大を考えるようになりました。
それがマーケティングの始まりと言われています。
製品の売上と利益の変遷を4つの段階で説明するわかりやすいモデルは
基本戦略を考える上で現代でもよく使われています。
今回は200年以上の歴史を持つマーケティング世界の黎明期、1950年頃にアメリカの経済学者
ジョエル・ディーンが提唱した理論の「プロダクトライフサイクル」についてのお話です。
目次
プロダクトライフサイクルとは
製品の売上と利益の変遷を「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの段階で説明して
製品が市場に登場してから需要が終わり、衰退するまでのサイクルを体系づけた理論です。
プロダクトライフサイクルは各期にあったマーケティング施策が出来ているか確認したり
将来の顧客ニーズや競合環境などの予測、行うべきアクションを想定することなどに用います。
4つの段階で分けられたマーケティング理論
4つの段階
導入期
市場に投入する段階で製品の認知がなく、また新技術によって生み出された製品の場合もあり
この段階では生産単価が高く、また認知向上が最優先で市場拡大を行うため広告費もかかるので
導入期では損失が大きく、利益の確保は殆どない段階となります。
認知向上、需要創出をしなければ成長期に入ることはなく、この段階で終わってしまうパターンも
どれだけ良い製品でも、顧客に知ってもらえず、需要がない製品はすぐに寿命を迎えてしまいます。
成長期
売上と利益が拡大していく段階になります。
製品が世に浸透してきて顧客は増えていきますが、ニーズも多様化するため
製品改良や差別化戦略が求められるようになります。
更に製品のブランド力の向上や市場に浸透させる、競合製品と異なる製品と顧客への訴求が
重要な段階となっています。
成熟期
市場は成熟して、成長が鈍化する段階になります。
売上や利益も頭打ちになりやすいため、トップ製品はシェアの維持
下位製品は生き残る為にニッチ戦略で生き残りを掛ける最終局面でもあります。
この段階は寡占市場になっていることも多いため、シェアを逆転させるのは難しいとされています。
衰退期
製品が溢れているため値引き競争など過剰になっていき、売上も利益も減少する段階になります。
新規投資も行われる事もないため、市場規模は縮小していきます。
既存顧客の維持が重要となり、衰退期までに獲得したブランド力を他の製品に活用や
撤退時期を判断する最終段階となります。
基本的に製品は4つの段階を経て終わっていく
国内事例:携帯電話(ガラケー)
10年程前は携帯電話といえば現在のスマートフォンではなく、ガラケー(フューチャーフォン)が
携帯電話市場の主力製品でした。
しかし2008年頃にAppleのiphoneが世に登場して
日本国内でも段々とスマートフォンの普及が増えていき既存のガラケーに置き換わる形で
携帯電話の主役に躍り出るようになりました。
現在、殆ど見る機会がないガラケーをプロダクトライフサイクルの4つの段階に分けていきます。
ガラケー導入期
1985年~2000年頃
85年に国内初の携帯電話レンタルが開始され
90年代に入ってからそれまで大きかった携帯電話が一気に小型化、液晶搭載、カメラ搭載、インターネット接続など時代の技術を取り入れていきガラケーの基本形を形成していきました。
各キャリアやメーカーは利用者を増やすために時の有名人を起用したCMやキャンペーンなど
広告費をたくさん費やして利用者を急激に増やしていきました。
ガラケー成長期
2000年~2005年頃
この時期はインターネット環境が強化されていき、3Gサービスの開始や写真メール、動画送信、ワンセグ搭載、お財布携帯などガラケーの由来ともなっている日本独自の機能が盛りだくさんな機種が多く登場した時期です。
各社ブランド力を高めるために自社の頭文字を使った型番名や統一したブランド名でのシリーズ化
独自の機能を搭載してシェア争いが激化していた段階でもあります。
ガラケー成熟期
2006年~2010年頃
この時期になると大手ブランドのガラケー利用者のみとなっており
一部のガラケーは個性的な形や機能を搭載してニッチなガラケーも登場していました。
日本市場では携帯電話の発達が著しく、機能面での新鮮さは失われていたタイミングで
2008年にiPhoneが登場することでガラケーは衰退期へと突入するきっかけとなりました。
ガラケー衰退期
2011年~2015年頃
スマートフォンが登場してから各社スマートフォンに投資を行うようになり
今まで新技術が搭載されてきたガラケーは電話とメールのみというシンプルさを売りにした機種や
プランで一部のニーズに応える形対応していきました。
しかし2015年頃にはスマートフォン普及率が50%を超えるなど
携帯電話の主力はスマートフォンへと完全に移行してしまいました。
ガラケーの既存顧客にスマートフォンに乗り換えるプランやキャンペーンなど
各社打ち出して、ガラケーは終焉を向けることとなります。
新商品・技術によって急激な変化が起こることも
まとめ
プロダクトライフサイクルはマーケティングにおいて欠かせない理論ではあります。
わかりやす4つの段階に分けることで将来の顧客ニーズや競合環境などの予測、行うべきアクションを想定するために活用できますが完璧ではありません。
未来予測も関係してくるため、絶対に将来に対しての予測は100%することは不可能です。
スマートフォンが登場した時もここまで急速に普及することを予測できた企業は殆どおらず
日本のメーカーも後手に回ってしまったのも事実です。
また最近では顧客のニーズの移り変わりが早く、4つの段階のサイクル周期が
短くなっている事もあるため将来の戦略を決め打ちせずに
複数の内容を用意しておくことが重要となっています。